半年間みっちり英語のプライベートレッスンを受けてから渡米した、ある人の実話です。
到着3日目。
「あんなに勉強したのにまったく英語が理解できない」という失意のどん底からスタートしたアメリカ生活も、渡米から2カ月後には英語での日常会話に困らない程度まで上達しました。
日本での勉強がやっと実を結んだのかと思いきや、意外にも役に立っていたのは中学英語。渡米前の勉強がいかせるようになったのは半年が過ぎた頃からで、それでもやはり基本は中学の授業で習った英語だったそうです。
「切羽詰まると基本学習の記憶がよみがえるもんだね。基本があってこその応用力だというのがよく分かったよ」。
商売にも通じる示唆に富んだ話ではないでしょうか。
ビジネスのノウハウが世の中にあふれている今、その気になればいくらでも勉強はできます。
成功者の生の声を聞くこともできます。
しかし、それらを実践したからといってすぐに結果が出る人はまれでしょう。
なぜなら他人の成功事例は自分にとって「応用」だからです。
すでに成功している人には自分なりのノウハウを確立してきた過程があります。
その過程は本人にとっての基本です。
つまり、プロセスは「基本」でノウハウは「応用」。
他人のノウハウを真似して目の前の問題を一時的に回避できたとしても、それは対処療法に過ぎません。
基礎体力がないのに、いきなりフルマラソンにチャレンジするのが無謀なことは理解できても、商売では基本をないがしろにして応用に飛びついてしまうことに自分ではなかなか気付けないものです。
商売の基本とは何か。それは「人となり」ではないでしょうか。
商売が人と人との関わりで成り立つ以上、人間的な部分が仕事の成功を下支えしているのは確かです。
日頃どんな心構えで仕事をしているか、どんな態度で顧客と接しているか。
その基本を押さえて商売をしていれば、必要なときに応用が利いて結果が出る。
自然の摂理とはそういうものなのではないでしょうか。