2021.11.15更新

「安全第一」は、1900年初頭にアメリカの製鉄会社USスチールが提唱した経営方針です。 当時のアメリカは1800年代後半から始まった第二次産業革命の中心地で、国内産業を大幅に成長させていました。

 安全性より生産性を重視していたため、日常的に労働災害(労災)が起きていたそうです。

 USスチールも「生産第一・品質第二・安全第三」を合言葉に事業を押し進めていましたが、度重なる労災から従業員を守るために周囲の反対を押し切って新しい経営方針を掲げました。

 それが「安全第一・品質第二・生産第三」です。

 その結果、労災が減っただけでなく製品の品質も向上し、生産性も上がったそうです。

 優先順位を入れ替えただけで「安全」「品質」「生産性」の好循環が生まれたのはなぜか。

 一言で言えば、現場の意識が変わったのだと思います。

 ものづくりの現場では誰もが安全の重要性を認識しているでしょう。

 しかしもっとも大切で、もっとも重要なことは、シンプルなゆえにインパクトがありません。

 安全というスローガンも、当たり前すぎて本来の意図や意味が風化してしまいがちです。

 そこで従業員の身を守る安全を最優先に掲げ、安全な現場だから良い品質の製品を作ることができ、製品の品質が良いから生産性が上がるというストーリーを全員で共有する。

 要するに、安全第一を守る理由を明確にしたことで「安全」が一人一人の自分事になり、現場の意識が変わっていったのではないかと思うのです。

 コロナ以降、経営分野のキーワードとして「パーパス経営」という言葉をよく聞くようになりました。

 単純に訳せば「企業の存在意義」。

 これを「志」と解釈して、これからは資本主義ならぬ「志本主義」の時代だと提唱する本も売れています。

 いわゆるビジョンやミッションの上位概念という位置づけです。

 キーワードは目新しくても「志」という概念は日本人にとってなじみ深いものです。

 あなたの商売の志、つまり「第一」は何でしょう。

 「第一」を自分事にするための「第二」「第三」は何でしょう。

 くれぐれも順番を間違えないようにして、志高くいきたいものです。

投稿者: 伯税務会計事務所

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