アップルの創業者スティーブ・ジョブズが残した名言のひとつに「好きなことを仕事にしよう」があります。
ジョブズのこの言葉に背中を押され、自分の好きなことをして生きていきたいと、多くの人が考えるようになりました。
しかし似たような発想は古来からありました。紀元前5世紀には、孔子が「汝の愛するものを仕事に選べ、そうすれば生涯一日たりとも働かなくて済むであろう」と述べています。
さて現代の日本人はどうでしょうか。
アメリカのギャラップ社が世界139カ国の企業に行った調査によれば「熱意を持って仕事に取り組んでいる」と答えた日本人は全体のわずか6%。逆に「やる気がない」と回答した人は実に70%にのぼり、この数字は世界で132位の最下位クラスでした。
ここで考えてみたいのは、好きなことを仕事にすれば熱意をもって取り組めるのか?ということです。
「愛するものを仕事に選べ」と説いた孔子は『論語』の一節でこうも言っています。
「これを知る者はこれを好む者にしかず、これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」。つまり「物事を理解して知っている人は、それを好んでいる人には及ばない。物事を好んでいる人は、それを心から楽しんでいる人には及ばない」という意味です。
好きこそものの上手なれ、ではありますが、物事の上達や達成には「好き」より「楽しむ」のほうが原動力となるのでしょう。
さらには「楽しむ」が働き甲斐や生き甲斐になっていくのだと思います。
うまくいかないとき、目の前に困難が立ちはだかったとき、考えに考え抜いて、もがいてもがいて、できることは何でもやった。
そんな経験をお持ちでしょうか。その経験を経て今があるとしたら、あなたは苦しみも楽しみの一部と捉えて逆境を乗り越えられたのではと想像します。
苦しいものはどうしたって苦しいし、大変なことは大変です。
それでも、すべては成長のための経験だと楽しめる人は、折に触れて「何のために」に立ち返っているように思います。
志あるところに道あり。逆境も楽しめるようになれば、本当の意味で一人前だと自負してもよいのではないでしょうか。