「二進も三進も」と書いて「にっちもさっちも」と読みます。
語源はそろばん用語で、二進(にしん)三進(さんしん)の音が変化して「にっち」「さっち」になったようです。
二進とは2÷2、三進とは3÷3のことで、どちらも割り切れる計算です。
そこから転じて、2でも3でも割り切れないことを「二進も三進もいかない」というようになり、計算が合わないことを意味するようになったそうです。
商売をしていれば二進も三進もいかない場面に出くわすことがあります。
どう頑張っても行き詰って身動きがとれない、いわゆる逆境ですが、逆境は人間が試される場面でもありますね。
思うようにならないときは身をかがめて力を蓄え、次に跳ぶ準備をしておく人。事を成すは逆境のときと捉え、ピンチをチャンスに変えるべく行動する人。
どれが正解ということはありませんが、ひとつだけダメなパターンがあるとしたら、それは「何もしないこと」でしょう。
「今は動かない」と決めて積極的に何もしない状態と、自分では何も選ばず何も決めず、ただ何もしない状態は、たとえはたから同じに見えても、実際はまったく別物です。
特に世の中が目まぐるしく変化している今のような時代には、何もしないことが一番のリスクになるといわれます。
では動けないときはどうするか。その方法のひとつはリセットです。
そろばんでは、次の計算に移るとき、先に置いたたまを全部払ってゼロにして、新しい計算ができる状態にすることを「ご破算(ごはさん)」といいます。
二進も三進もいかないときは、今までの常識や経験をご破算して前に進む。そんな発想の転換が必要かもしれません。