日本中が大いに沸いたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の名場面をYouTubeなどで見返して自分を奮い立たせている、という話をよく聞きます。
確かにあの大舞台でもひるまないスーパー選手たちの圧巻のプレーは、何度見ても胸が熱くなります。
数ある名場面の中でも特に印象的だったのは、誰もが不意をつかれた大谷選手のセーフティーバントです。
見せ場を作る十分な実力を持った選手があの決断をしたのは、自分の活躍よりチームの勝利、さらにWBCでの優勝という「目的」がはっきりしていたからだろうと想像します。
「目的と手段を間違えるな」とよくいわれます。
実際、気がつけば手段が目的に入れ替わっていたということはよく起こります。
お客さまに喜んでもらおうと新商品を考えていたら、いつの間にか商品開発自体に熱が入りすぎて「お客さまのニーズそっちのけで自分たちが作りたいものを作っていた」なんてことになったりするわけです。
いわゆる「こだわり」は大事なことですが「こだわり」にこだわりすぎると、視野が狭くなります。
目的が明確であれば手段は多種多様。ゴールにたどり着くための道はひとつではなく、目的地さえ見失わなければ、どの道を、どう行っても間違いではありません。
マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカーは『断絶の時代』で「組織は、自らのために存在するのではない。組織は手段である。組織の目的は、人と社会に対する貢献である。
あらゆる組織が、自らの目的とするものを明確にするほど力を持つ」と述べています。
「組織」を「商売」に替えてみると、商売の本質が見えてくる気がします。