商売において大事な資質とは何でしょうか。
答えは十人十色だと思いますが「新・経営の神様」の異名を取る稲盛和夫さんは、苦難続きだった実体験をもとに「何事も誠実であれば踏み越えられないこともないし、誠実であれば一目置かれる」というメッセージを若い世代に残しました。
社会貢献の先駆者でもある稲盛さんの人生が、誠実さと利他主義の二本柱に支えられていたことはご存じの方も多いでしょう。
「人のため世のためを思い仕事をすること」が経営の原点だと、繰り返し語っていました。
また日本の将来についても思慮深い洞察を持っていました。
日本伝統の芸事が持つ「礼」の精神を尊び、経済力よりも品性や礼儀を重んじ、周囲の国々から尊敬される国になることを望んでいました。
誠実さ、利他心、品性、礼儀。どれも利益に直結したものではありません。
誠実で利他心にあふれ、品性と礼儀が備わっていても、自社の商品やサービスでお金を生み出す力がなければ、ただの良い人になってしまうかもしれません。
けれど今はお金を生み出す力が乏しくても、人柄の良い人は周囲から愛されて応援されるでしょう。
逆に、お金を稼ぐ力はあっても性格の悪い人の行く末は、皆さんが想像するとおりです。
もちろん何事においてもバランスは大事です。
しかし5年後、10年後、20年後にどうなっていたいのか、そこを見て商売をしている人は、目先の損得に一喜一憂することより大事なものがあることを、よくお分かりだと思います。
精神性が上がると、今までと同じ出来事でも見え方や捉え方が変わってくるものです。
自己成長の目安にしたいものですね。