【待つ時間】
2016.12.15更新
年末年始は「待つ」ことが多くなりますね。
忘新年会では席に座るまでに待たされ、道路は渋滞し、有名な神社で初詣をすれば寒い中で待つのは覚悟の上です。
ところで「待つ」感覚は不思議だと思いませんか。
電車が遅れると5分でも愚痴が出るのに、おいしいと評判のお店では喜んで行列に並びます。
人間関係や個人的な感情も「待つ」時間を左右します。
Aさんに待たされると腹が立つのにBさんなら気にならない。
気分が良い日は長く待てるのに気分が乗らない日は1分の待ち時間さえ我慢できない。
人それぞれ「待てる時間」と「待てない時間」があり、その境界線は本人にしか分かりません。
しかし誰にでも共通しているのは「待たされている」と思えばイライラし、「進んで待っている」ときはウキウキと心が弾んで待ち時間も気にならないということです。
鹿児島県の屋久島では樹齢がおよそ1000年を超える杉を屋久杉と呼ぶそうです。屋久杉は成長が遅いことで知られています。
屋久島は花こう岩の島なので岩が邪魔をして地下に根を張れず、十分な養分を取れないので成長速度が遅いそうです。
しかし成長が遅いため年輪が詰まっており、独特の木目や模様を生み出します。
材質が緻密で長命なのも成長が遅いことの恩恵です。
過酷な環境下でゆっくりと成長するからこそ個性が際立ち、丈夫で長く生き残れる。
屋久島の杉が待つことをせずに成長を急いだら屋久杉は存在していないかもしれません。
商売でも売り上げが伸びない、顧客が増えない、反応が悪いといった「待たされている感じ」はどうも居心地が良くありません。
たとえ同じ状況でも、力の限りやったからあとは自分を信じて良い結果を思い描いて過ごす。
ワクワクしながらベストを尽くして天命を待つことができたら何よりだと思いませんか。
私たちはこれからもいろいろな局面で「待つ」ことに遭遇します。
同じ「待つ」なら自分が磨かれるような待ち時間にしたいものですね。
今年もお世話になりました。良いお年をお迎えください。
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