【商売は練って待つ】
2017.05.15更新
公園や駅前広場などで、ギター片手に歌っている若者を見かけることがあります。
路上で自作の歌を弾き語りする人たちをストリートミュージシャンと呼ぶそうです。
彼らは、うまい・下手を越えたところで聴衆を魅了しているように感じるのは若い情熱のせいでしょうか。
夢を追いかけている人の姿はまぶしいものですね。
これは、あるストリートミュージシャンの興味深い話です。
彼が路上で歌い始めたばかりの頃は、足を止めてくれる人の気配さえなかったそうです。
無名の素人だから当然のこと。
彼はそう思っていたようですが、路上ライブを続けるうちにあることに気付いたのです。
ここには看板もなければ椅子もない。
もしかしたら僕の歌を聴きたいと思ってくれている人がいるかもしれないのに「ここでライブをやっています。
ぜひ僕の歌を聴いてください」というサインを何も出していなかった。
これでは立ち止まりづらいのは当たり前だと気付いた彼は「路上ライブやってます」の看板を出し、小さな椅子を置いたところ、すぐに足を止めてくれる人が現れ、その数が少しずつ増えていったようです。
人に聴いてもらいたければ良い音楽をやることが大前提ですが、同時に「気兼ねなく聴ける」というお客さま目線の環境を整えることも大切だったのでしょう。
良いものを作れば売れると思うのは傲慢(ごうまん)だと、ある経営者がインタビューに答えていました。
良い商品だから、良いサービスだから、あとは「果報は寝て待て」の方程式が単純に成り立つなら商売はどんなに楽でしょう。
しかしながら商売はそんなに甘くありません。
世間には、間違いなく良いものなのに売れない商品やサービスが山ほどあります。
どんなに良いものを作っても「それを売る努力をしないと売れませんよ」というわけです。
「果報は寝て待て」もひとつの考え方だと思いますが、「果報は練って待て」という指南もあります。
でる限りの努力と工夫をした上で静かに時機の来るのを待つ。
そんな粋な商売をしていきたいものですね。
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