【『論語』と「鍋奉行」】
2022.03.15更新
鍋料理を囲むとき、頼まれてもいないのにその場を仕切る人のことを「鍋奉行」と呼びます。
最初から最後まで全て自分で作ってしまうタイプ。食材の切り方や入れる順番、さらには食べるタイミングまで事細かに指示するタイプ。色々な鍋奉行がいますが、必ずしも鍋料理にたけているわけではありません。
仕切りたがりな人に対する皮肉を込めて「鍋奉行」と呼ぶこともあります。
鍋奉行だけを集めて鍋パーティーをやったらどうなるか?そんな実験をした人がいます。
結果からいうと「めちゃくちゃうるさい!」の一言だったそうです。
全員にこだわりがあり、それを譲らない人たちの集まりなので当然と言えば当然のこと。実験の主催者は「これが職場だったら・・・」と苦笑いしていましたが、確かに仕切りたい人ばかりの職場を想像するとげんなりしますね。
経営者でも鍋奉行タイプの人がいます。人に指図ばかりしたり、逆に何でも自分でやらないと気が済まなかったり。
経営者の仕事は「決断」だといわれます。
決断とは、心をはっきりと決め、きっぱりと断を下すこと。ところが鍋奉行タイプの経営者は、決断を「仕切ること」だと勘違いしているようです。
仕切りたがりな人は人に指図をします。
リーダーシップのある人は人との対話を大事にします。
「俺についてこい!」と部下をグイグイ引っ張っていくリーダー像が輝いた時代もありましたが、今は人を巻き込んでチーム力をいかす力が求められているようです。
平時のときは「After you(みんなを見守っているよ)」。
有事のときは「Follow me(私についてきなさい)」。そんな姿勢が支持されそうです。
古典から読み解けば『論語』の中庸という教えからもリーダー論を学ぶことができます。A案とB案がある場合、双方に良いようにするわけではなく、間を取るわけでもなく、両方の話をよく聞いて、その上で全く新しいC案を出す。
偏りのない「中」をもって道をなす概念でリーダーシップを捉えると、全く新しいC案という決断に至るのでしょう。
中庸には及ばずとも、鍋も商売も指図より対話で進めて、みんなで分かち合いたいものですね。
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