2022.05.15更新

 鎖国を続けていた日本にペリーが来航した19世紀。世界ではイギリスを中心とした欧米諸国で産業革命が急速に進み、個人の生産効率を最大限に発揮することが重要だと考えられていました。

 いつの時代でも、個人の生産効率が商売を左右する状況は変わらないようです。では個人の生産効率は何に左右されるのか。今も昔も、会社の業績を支えている要素のひとつは社員のモチベーションではないでしょうか。

 ある調査によれば「やる気にあふれる」社員の生産性は、単に「満足している」社員と比べて約2.3倍高いという結果も出ています。

 話を19世紀に戻して当時、フレデリック・ハーズバーグというアメリカの臨床心理学者が「何が人をやる気にさせるのか」という研究をして「モチベーション理論」を提唱しました。

 その理論によれば、人に「満足をもたらす要因」と「不満足をもたらす要因」は必ずしも同じではない。

 しかも満足をもたらす要因が満たされるとモチベーションは上がるけれど、不満足をもたらす要因を満たしても、不満足の解消になるだけで満足感やモチベーションが上がるとは限らないことを明らかにしたのです。

 気になるのは「満足をもたらす要因」の内容です。お金か、肩書か、休みか、人間関係か。実はこのどれでもありません。

 人に満足をもたらすのは、達成感、評価、責任ある立場、昇進、成長などで、つまり仕事そのものや仕事から得られる精神的な成長が満足につながり、やる気を引き出すそうです。

 一方、不満足をもたらす要因は、給与、福利厚生、経営方針や管理体制、同僚や上司との関係など。ここから分かるのは、給与が低ければ不満になるけれど、給与を上げても不満が解消されるだけで社員のやる気にはつながらないという、経営者をガックリさせる話です。

 これをご自身の商売に当てはめてみてください。コロナ禍で大変なときは売り上げが上がればすべてうまくいくと思いがちですが、状況はそれほど単純ではなさそうです。

 コロナは一種の産業革命だという見方もあります。何が自分のやる気になるか。中長期的な視点で考えてみたいものです。

投稿者: 伯税務会計事務所

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