2021.07.01更新

 2021年3月、旅行会社大手のJTBが、資本金を23億400万円から1億円に減少させました。

 そこで今回はこの「減資」について考えてみましょう。

 昨今のコロナ禍において、旅行業界はその影響を最も受けている業種のひとつです。

 企業の業績は悪化し今後も厳しい状況が続くと思われ、1秒でも早い回復の兆しを待ち望んでいることでしょう。

 そこで打った手が今回の減資です。

 減資には「有償減資」と「無償減資」があります。

 有償減資は会社の財産を株主に払い戻して行うもので、無償減資は会計上の処理により形式的に行うものです。

 今回のJTBの減資は無償減資の形をとりました。

 では、なぜそうまでして減資を行う必要があったのか?それは、減資をすることにより税制上のメリットを享受できるからです。

 法人税法では資本金の額により税制上の取り扱いが異なります。

 その額の分岐点が「1億円以下」か「1億円超」かなのです。

 例えば、資本金が1億円以下であれば法人税の税率が軽減されたり、繰越欠損金が全額控除できるようになったりと、多くのメリットを受けることができます。

 また法人事業税においては外形標準課税が適用されないため、税負担を抑えることが可能となります。

 これらのことから今回のJTB以外にも、やむなく減資に踏み切る大企業は他にもあるようです。

投稿者: 伯税務会計事務所

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