2014.05.01更新
相続税の目的には「富の再分配」や「格差の固定化防止」があります。
しかし、バブル崩壊後、地価は下落しましたが相続税の基礎控除は逆に拡充されました。そのようなことも要因のひとつとなり、相続税の課税件数の割合は昭和62年の7.9%から平成23年には4.1%にまで低下しました。
今回は「相続税」を強化する一方で、補完役である「贈与税」は緩和となります。
生前贈与を一層促進させることが贈与税改正の目的のようです。
高齢者の保有資産を若い世代へ早期に移転させて経済の活性化にもつなげたい考えでしょう。
今回の相続税改正の注目ポイントは、定額控除が5000万円から3000万円に、法定相続人数比例控除が法定相続人1人につき1000万円から600万円になることです。
このため一般的なケースで、さらに法定相続人を仮に配偶者と子2人の計3人とした場合、従来なら相続財産が8000万円を超える場合であったものが、改正後は4800万円を超える場合から相続税がかかることになります。
これまでは相続財産が8000万円であればゼロであった相続税が、改正後は350万円必要ということになります。このようなことから今後は、緩和された贈与税をより上手く活用して相続対策を考えていきたいところです。
相続税は早い時期から計画的に対策することが大切です。
まずは一度ご相談ください。
投稿者: 伯税務会計事務所
2014.04.01更新
地震で住宅が倒壊すれば居住者に危険がおよびます。
さらに、倒壊した建物は近隣住民の避難の妨げにもなり、被害を拡大させる危険性があります。
そこで、「災害に強いまちづくり」を推進するために、一定の条件を満たした耐震改修には「所得税」と「固定資産税」の減額措置が設けられています。
まず所得税の減税措置についてですが、標準的な工事費用相当額の10%(最高25万円)を所得税額から控除することができます。
ただし、補助金などの交付を受ける場合には、その額を差し引いた金額となります。
主な要件は、昭和56年5月31日以前に着工されたもので、現在の耐震基準に適合しない住宅であること。また、居住する住宅を個人が平成29年12月31日までに耐震改修した場合などになります。
次に固定資産税の減額措置についてですが、改修工事が完了した年の翌年度から1年間に限り、120平米相当部分までの固定資産税が2分の1に減額されます。なお、120平米を超える部分は減額されません。
主な要件は、昭和57年1月1日以前から所在していた住宅を、平成27年12月31日までに現行の耐震基準に適合するよう耐震改修すること。また、耐震改修の費用が50万円を超えていることなどになります。
なお、これらの税制優遇を受けるためには、必要書類をそろえて申告する必要があります。
投稿者: 伯税務会計事務所
2014.03.01更新
NISA(ニーサ)とは、2014年1月から導入された「少額投資非課税制度」のことで、上場株式や公募株式投資信託などの配当や譲渡益の一定額を非課税にするという制度です。
具体的には、毎年100万円までの新規購入分を対象に、その配当や譲渡益が最長5年間非課税になります。
この制度が利用できるのは20歳以上の日本国内居住者で、1人につき1口座しか開設することができません。例えばA銀行に口座を開設した場合は、異なる金融機関であってもB証券には開設できません。
口座開設可能期間は2014年から2023年までの10年間になります。なお、現在のところ一度、口座を開設すると最長4年間は別の金融機関への変更や開設をすることはできません。
金融機関によって扱う金融商品や手数料が違うため、口座を開設する金融機関を決める際には十分に検討したいですね。
また、上場株式などを売却して発生した譲渡損失については、他の特定口座や一般口座での譲渡益と損益通算することや繰越控除することはできません。
なお、今回の内容は2014年1月現在のものとなります。NISAは「専用口座を開設する金融機関を毎年変更」「口座を開く手続きの簡素化」など、使いやすくするための検討が現在も関係省庁で進められているので、今後も詳細が変更されていく可能性があります。
投稿者: 伯税務会計事務所
2014.02.01更新
我が国に所得税が導入されたのは明治20年で、課税対象は個人所得だけでした。
書籍『日本財政論』によると、高額納税者の多くは旧大名や公家などの華族で、上位には旧山口藩主の毛利元徳や旧金沢藩主の前田利嗣、旧熊本藩主の細川護久などの名前がみられます。
そのような中、申告額で第1位となったのは、三菱財閥の基礎を築いた岩崎弥太郎の長男、岩崎久弥で申告額は約70万円でした。第2位は岩崎弥之助(岩崎弥太郎の弟)で約25万円、第3位が毛利元徳の17万円台。
日本資本主義の父といわれた渋沢栄一が10万円弱の申告額ですから、第1位の申告額がいかに多いかが分かります。そうなると当時の70万円がどれくらい価値があったのかを知りたいところですが、世の中の仕組みや人々の暮らしが異なるため正確に換算することはなかなか難しいものがあります。
また、物価や賃金水準も年々変化しているので同じ明治時代でも前半と後半では違いがあります。
そのためあくまでも参考としてのお話です。明治30年頃の小学校の教員や警察官の初任給は月8~9円くらい、一人前の大工などベテラン技術者で月20円くらいだったようです。
このようなことから考えると当時の庶民にとっての1円は、現在の2万円くらいの重みがあったのかもしれません。仮にこれで計算すると当時の70万円は現在の140億円になります。
投稿者: 伯税務会計事務所
2014.01.01更新
住宅会社の経営者から、「支店を出そうと考えているのですが、その場合、均等割はどこに納付するのでしょうか?」というご質問をいただきました。
今回は本店がA県B市にあり、支店を同じA県のC市に出すケースになります。
まず、法人は法人住民税を納める必要があります。法人住民税とは今回の場合、県民税や市民税となります。
この法人住民税には、利益に関係なく会社の資本金や従業員数に応じて税額が決まる「均等割」と、法人税の額に税率を掛けて計算する「法人税割」というものがあります。
今回の均等割は、本店と支店は同じ県内ですから、A県にのみ県民税の均等割を納めることになります。また、資本金や従業員数に変わりがなければ、納付額が増えることはありません。
しかし、市税の均等割は市町村がB市とC市で異なるため、本店のあるB市と新たに出店するC市のそれぞれに納める必要があります。
仮に県も異なるところに支店を出した場合には、新たに出店する県と市の両方に均等割が発生します。
次に法人税額に応じて負担する「法人税割」についてですが、こちらは本店と支店に分割して納めることになります。
分割の基準は、主に事務所数や従業員数となります。
なお、東京都23区内については、都の特例として都民税と区民税の2つをあわせて都民税とし納めることになります。
投稿者: 伯税務会計事務所
2013.12.01更新
「金銭または有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満の場合は現在、非課税とされています。
それが平成26年4月1日からは、受取金額が5万円未満のものは非課税となります。
「金銭または有価証券の受取書」とは、金銭または有価証券を受領した者がその受領事実を証明するために作成し、相手方に交付する証拠証書をいいます。
例えば、「領収書」「受取書」「レシート」などがこれに該当します。また、金銭や有価証券の受領事実を証明するために、請求書や納品書などに「代済」「相済」「了」などと記入したものも該当します。
飲食店などのように、3万円を少しだけ超える場合がしばしばあるところでは、非課税範囲が5万円未満に拡大されることは特に朗報でしょう。
またこの他には「不動産の譲渡に関する契約書」や「建設業法で規定された建設工事の請負に関する契約書」においても印紙税額が軽減されます。
こちらの軽減措置は、平成26年4月1日から平成30年3月31日までの期間が対象となります。
なお、平成25年度の国の歳入予算を見ると、印紙による税収は約1.1兆円です。所得税や法人税などの主要税目に比べると少ないですが、たばこ税の1兆円弱や酒税の1.3兆円強と肩を並べます。
このように比べてみると、印紙税もけっこうな税収があることが分かります。
投稿者: 伯税務会計事務所
2013.11.01更新
「NPO法人を立ち上げて、スポーツや芸術などを通じ地域の街づくりに貢献したいと考えています。そのNPO法人についてですが、非営利なので税金がかからないという話や、そうではないという話などいろいろと耳にします。
そこで、NPO法人の税金について教えていただけないでしょうか」というご質問がありました。
「NPO」とは、様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体のことをいいます。 そのため収益を目的とする事業を行うこと自体は認められますが、事業で得た収益は様々な社会貢献活動に充てることになります。
そしてこのNPOのうち、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人を、NPO法人(特定非営利活動法人)といいます。 NPO法人に対しての税金ですが、株式会社や有限会社などの営利法人に適用される税制よりは優遇されている部分もあります。
しかし、税金がかからないわけではありません。例えば法人税ですが、物品販売業・不動産販売業・金銭貸付業など、法人税法に定められた34種類の収益事業から得た所得は法人税の対象となります。
ただし、収益事業への対価としてではない寄付金や補助金を受けた場合は、課税対象とはなりません。その他にもNPO法人特有の取り扱いがありますので注意が必要です。
投稿者: 伯税務会計事務所
2013.10.01更新
今年の5月15日に、国の平成25年度一般会計予算が決まりました。その総額は92.6兆円。歳出では、「社会保障関係費」「国債費」「地方交付税交付金」の3項目で全体の70%を超えています。
その中でも最も多いのは、医療、年金、福祉、介護、生活保護などの公的サービス費用である社会保障関係費で、29.1兆円と全体の31.4%になります。
また、国債費は利払費等が9.9兆円、債務償還費が12.3兆円で、合計22.2兆円と全体の24%を占めています。
都道府県や市町村などの地方公共団体間の財政の均衡化を図り、一定の行政サービスの水準を維持できるように、国が国税として徴収し再配分する地方交付税交付金は16.4兆円で全体の17.7%になります。
その他では、「文教及び科学振興」5.4兆円、「公共事業」5.3兆円、「防衛」4.8兆円となっています。
一方の歳入ですが、国債の発行によって作られる「公債金」が42.8兆円と全体の46.3%を占める状況です。税収でまかなわれているのは、全体の半分にも満たない43.1兆円になります。
その内訳は、「所得税」が一番多く13.9兆円、次に「消費税」の10.6兆円、そして「法人税」が8.7兆円で、その他「相続税」「酒税」「たばこ税」などで9.8兆円となります。
わが国は現在このような状況のため、国債に依存する財政を改善することが大きな課題となっています。
投稿者: 伯税務会計事務所
2013.09.01更新
先日、『税務署から相続税の納付について通知が届きました。
昨年、母が亡くなり私と妹が遺産を相続しましたが、妹がそのときの相続税を納めていないようです。
今回の通知は、それを代わって私が負担するようにということですが、自分の分の相続税をしっかり納めた私が、妹の相続税も負担しなくてはいけないのでしょうか?』
というご質問がありました。
相続税は、相続により取得した財産の価額を限度として、「他の相続人が納付すべき相続税を連帯して納付しなければならない」という義務が定められています。これを「連帯納付義務」といい、今回のケースはこれにあたります。
ご質問の場合では、基本的に被相続人であるお母様がお亡くなりになった翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告と納付を行わなければなりません。
納付期限を過ぎても納付がない場合には、まず本人に督促状が送られます。それから一定期間が経っても納付されなければ、他の相続人に連帯納付義務が予告されることになります。
なお、平成24年4月1日以後に申告期限等が到来する相続税より連帯納付義務について見直しがされ、「申告期限等から5年を経過するまでに連帯納付の通知を受けなかった場合」や、「納税義務者が延納または納税猶予の適用を受けた場合」などについては、連帯納付を求めないことになりました。
投稿者: 伯税務会計事務所
2013.08.01更新
法人税において交際費は原則、損金不算入となります。
ただし特例により資本金1億円以下の中小法人については、一定額まで損金に算入することができます。
そして今回、平成25年度の税制改正で、中小法人に関する損金算入の定額控除限度額が600万円から800万円に引き上げられ、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置が廃止されました。
少し話は変わりますが、交際費課税の制度が創設されたのは昭和29年でした。
当時は設備投資による内需拡大で好況が続いていた時代で、会社の役員や従業員の給与が交際費の形で支給されたり、私的な接待などが会社の交際費として使われることがあったようです。
交際費課税の制度は、これらを抑制して企業の資本蓄積を促進するために創設されました。
さて、日本では原則、損金不算入の交際費ですが、他の国ではどのようになっているのでしょうか。そこで各国における交際費の取扱いを簡単に見てみましょう。まずイギリスでは全額損金不算入となっています。
逆にフランスでは全額損金算入することができます。アメリカとドイツは以前は全額損金算入することができたようですが、現在は取扱いが厳しくなりアメリカは50%、ドイツは30%が損金不算入となっています。
なお、これらの取扱いはいずれの国も原則としてで、その他にいくつかの要件があります。
投稿者: 伯税務会計事務所