2024.01.04更新

 先日、国税局の税務調査を受けた地ビールの製造販売会社が、過去3年間に出荷した缶ビールについて「発泡酒に該当する」と指摘を受け追徴課税されたようです。

 わが国では、その製造方法や原料によってさまざまな酒類に分けられて税金がかかります。

 発泡性酒類については「ビール」「発泡酒」、第三のビールとも呼ばれる「その他の発泡性酒類」に分けられます。

 ビールと発泡酒の違いは、原料である麦芽の使用割合により区分されます。

 また麦芽の使用割合だけではなく、その原料や製法によって税率が細かく分けられて複雑です。

 2023年10月から、この複雑な体系をより簡単なものに一本化することなどを目的に、2026年までに段階的に税率が変更されます。

 350ミリリットル缶に換算すると、改正によりビールでは約6円引き下げられ、第三のビールは約9円引き上げられて、これまで約32円あった差が約16円まで縮まりました。

 3年後に一本化したときは350ミリリットル缶では約54円の酒税となる予定です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.12.01更新

 万が一のときのために個人で火災保険に加入している家庭も多いと思います。

 不幸にも火災が発生してしまった場合、支払われる保険金は損害を埋め合わせる資金であるため、所得税法では非課税とされています。

 また支払われた保険金が実際の損害額よりも少なく、その保険金だけで損害の全てを補うことができなかった場合は「雑損控除」として確定申告をすれば、税金が還付されることもあります。

 しかしながら個人が小売業などの事業を営んでいる場合、例えばその店舗において火災が発生して商品等が消失し保険金を受け取った場合には、その保険金は事業収入として計上しなければなりません。

 つまりその保険金は、税金の申告対象となるのです。

 一方、法人契約の火災保険の場合、例えば不動産賃貸業などを営んでいる会社の建物が、火災に遭った際に支払われる保険金は、全て課税の対象となります。

 このように契約形態の違いなどによって、支払われる保険金に関する税金の取り扱いもさまざまとなります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.11.01更新

 2022年度の財務省の発表によれば、税収は前の年度よりも4兆995億円ほど増えて71兆1374億円となりました。

 70兆円を超えたのは初めてで、3年連続で過去最高を更新しています。

 税収が増えた要因としては、物価高による消費税収が増えたこと。コロナ禍からの企業業績の回復による法人税収が増加したこと。

 さらには賃上げの動きが広がったことによる所得税収が伸びたこと。

 いわゆる基幹税であるこの3つの税収が、増加したことが要因と考えられます。

 税収で一番多かったのが消費税の23兆793億円、次いで所得税の22兆5217億円、法人税の14兆9398億円で、この基幹税の合計で60兆円を上回っています。

 リーマンショック後に一番落ち込んだ2009年度の38.7兆円と比較すると、約22兆円も上回っています。

 一方で歳出については、新型コロナウイルス感染症や物価高騰に対応する予算を計上しながらも、結果的に使う必要のなくなった不用額が11兆3084億円と過去最大となりました。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.10.01更新

 「小規模企業共済制度」をご存じでしょうか。

 これは小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。

 この制度は「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が運営しています。

 掛金が全額所得控除できるため節税効果が高く、その掛金は毎月1000円から7万円まで、500円単位で自由に設定することができ、加入後の増額または減額も可能です。

 廃業や退職時等の共済金の受け取り方法は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が可能で、一括の場合は退職所得扱い、分割の場合は公的年金等の雑所得扱いとなるため、共済金を受け取るときも税制のメリットがあります。

 また資金繰りなどが一時的に厳しくなったときは解約ではなく、掛金の7~9割の範囲内で事業資金の貸付制度を利用することができます。

 貸付制度は即日の貸し付けも可能であり、しかも低金利なので安心して利用することができます。

 多くのメリットがある制度なので、未加入の方は一度、検討してみてはどうでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.09.01更新

 国税庁はストックオプションに対するQ&Aを公表しました。

 その中で信託型ストックオプションについて「権利行使時に給与として課税する」ということを示しました。

 信託型ストックオプションとは、従業員が自社株式を購入する価格を会社側が設定した上で信託し、信託会社が従業員に配布する仕組みであり、スタートアップ企業(新興企業)を中心に導入されています。

 これにより従業員が得た利益は、比較的税率が低い譲渡所得(約20%)にあたるとの認識で利用する会社も増えていました。

 しかし今回の国税庁での説明では、給与所得(最高税率約55%)にあたるとのこと。

 国税庁はこれについて従来の取り扱いを変更したものではないとして、会社側が与えた権利を従業員が行使して株式を取得した時点で実質的な給与にみなされ、すでに行使済みの従業員に対しても会社側がさかのぼって所得税の源泉徴収の必要があるとしました。

 今回の説明により多くの企業でさまざまな対応が求められそうです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.08.01更新

 所得税法に規定する「非永住者以外の居住者」は、その年の12月31日において5000万円を超える国外財産を有する場合、その財産の種類、数量、価額等を記載した国外財産調書を所轄税務署長に提出しなければなりません。

 国税庁の発表によると2021年分の提出状況は、総提出件数が12109件、総財産額は5兆6364億円で8年連続で増加しており、集計が始まった2013年以降いずれも最高となりました。

 財産の種類としては有価証券が最も多い3兆5695億円、次いで預貯金が7591億円、建物が4474億円の順となっています。

 この調書は自主的に自己の情報を記載し提出するものなので、特例措置が設けられています。

 期限内に提出した場合、所得税等の申告漏れが生じたときでも加算税が5%軽減されます。

 しかし期限内に提出がない場合、または提出した調書に記載すべき財産の記載がない場合は、その財産に係る所得税等の申告漏れが生じたときには、加算税が5%加重されるなどの措置があります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.07.01更新

 今回は2023年度の税制改正のポイントについてお話しします。

 個人所得課税については、家計の資産を貯蓄から投資へと資産所得倍増につなげるべく、NISA制度の拡充と恒久化措置が講じられました。

 それにより「つみたて投資枠」については年間上限額を120万円に拡充し、新たに設けられた「成長投資枠」の年間投資上限額を240万円に拡充するとともに「つみたて投資枠」との併用が可能となりました。

 資産課税については、相続時精算課税制度における基礎控除(年110万円)の創設により、この制度の選択後も毎年110万円以下の贈与については贈与税の申告が不要。

 また資産移転の時期に対する中立性を高める観点より、暦年課税における相続前贈与の期間を3年から7年に延長したほか、延長した期間に受けた贈与のうち100万円については相続財産に加算しない見直しが行われました。

 この他、法人課税については研究開発税制の見直し、先導的人材投資に関する税制の創設なども行われました。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.06.01更新

 2023年10月1日よりインボイス制度が開始されます。

 これにより適格請求書発行事業者(登録事業者)のみが適格請求書(インボイス)を交付することができます。

 制度の開始後は、これまでの請求書等の保存に代えて適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。

 登録事業者でない免税事業者等からの課税仕入れについては、仕入税額控除を行うことができなくなります。

 しかし2023年10月から2029年9月までは、免税事業者等からの課税仕入れについて、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

 具体的には、2023年10月1日から2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%を仕入税額として控除できます。

 ただしこの適用にあたっては、免税事業者等から受領する区分記載請求書等と同様の事項が記載された書類の保存と、その内容を記載した帳簿の保存が必要となります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.05.01更新

 「103万円の壁」や「130万円の壁」という言葉を見聞きした方も多いと思います。

 最近では「106万円の壁」という言葉もありますが、今回は前者の2つの金額の壁についてお話しします。

 103万円は税法上の扶養の壁、130万円は社会保険上の扶養の壁です。

 給与による年収が103万円以下であれば所得税はかかりません。また103万円以下でアルバイトをしている子どもや配偶者を扶養に入れることができます。

 配偶者の場合は、103万円超であっても201.6万円未満であれば配偶者特別控除という制度で38万円から1万円までの控除を受けることが可能です。

 一方、130万円の社会保険上の壁は、130万円までの収入であれば、扶養者の社会保険上の扶養に入ることができます。

 よくあるケースですが、配偶者が扶養の範囲内で働きたい場合は「所得税がかからない程度なのか、社会保険の扶養範囲内までなのか」など、いろいろな金額の壁を考えながらワークライフバランスと家計にベストな方法を検討する必要があるでしょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.04.01更新

 「今期は利益が出そうなので、決算直前でもできる節税対策はないでしょうか」という相談を受けました。

 このような場合の節税対策のひとつに「短期前払費用の特例」という制度があります。

 通常では費用の支払いをしても、サービスの提供を受けていない来期分の「前払費用」については、当期の経費に算入することができません。

 しかし一定の条件を満たせば当期の経費とすることができます。

 その条件とは「契約によって継続的にサービス提供を受けるために支出したものである」「支払日から1年以内にサービス提供を受けるものである」「支払った金額を継続してその事業年度の経費にしている」です。

 例えば、決算月などに1年間分の事務所家賃を前払いする契約に変更し、その1年分の家賃を支払えば経費として算入することができます。

 なお支払利息のように、収益と対応させる必要があるものについては認められません。

 また期間限定の広告代など継続的でない場合も特例が適用されないことがあるので注意が必要です。

投稿者: 伯税務会計事務所

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